まったり人生

僕は昔、まちのかたすみに捨てられたんだ


初めは通りすがりの人が「可愛い～」ってエサをくれたんだ


でも季節が近づくと体か「ムズムズ・・・」するんだ


子供が欲しくなるんだ

だから子供をつくったんだよ、家もエサも無いのにね


でも、家もエサもないから

子供は病気になったり、いじめられたりしたんだ

それでも季節が来ると「ムズムズ・・・」するんだ

生き残った子供も大人になり

また、僕と同じように季節が来ると子供をつくった

まちはいつの間にかネコだらけになったんだ

そして、まちの人に迷惑をかけるようになって

もう、まちの人は笑ってくれなくなった

いつも困った目で僕たちを見るんだ

ある日、保健所という所から来た人が

僕たちを捕まえ始めた

僕は一生懸命逃げたんだ

子供や仲間はたくさん連れて行かれた

僕は悲しくて毎日泣いたんだ

でもね、また季節が来て「ムズムズ・・」が始まるんだ

子供をつくって、死んで、いじめられて、連れて行かれて

ぼくは泣いてばかりだった

なのに、僕はどうする事も出来なかったんだ

初めの頃に戻りたい、仲間も少なく

まちの人が笑顔でいてくれたあの頃に

そう思っては泣いていたんだ

僕はもう疲れていたんだ

このまま死んで行くのかと疲れていたんだ

そんな時一人の人に出会った

僕は捕まって、殺されるのかと思ったら

「去勢」って手術をされて

まちに戻された

僕は,、 なんの事かわからなかったんだ

耳にも「しるし」が付けられていたんだよ

そして言われたんだ

「生きていいんだよ」

僕は生きていいんだ、ここにいてもいいんだそう思った時

見上げた僕の前には優しい笑顔があった

昔にみたまちの人の笑顔だ

僕はまた泣いたんだ今度はなんだかうれしくてね

また季節が来た、僕は「ムズムズ・・」しなくなった

だから子供はつくらないよ

もう、悲しい涙を流さなくてよくなったんだ

これが昔の話さ、

今ではまちのみんなも笑顔見せてくれるよ

中には家を手に入れた仲間もいたよ。

そりゃ～僕も温かい家が欲しいよ

まぁまだ、そのチャンスはまわって来ないや～

でも僕は初めのチャンスをもらったから子供や仲間の分まで生きるんだ

だから、この耳は可哀想なんかじゃない

「生きていける、しるしなんだよ」